NAFTA(北米自由貿易協定)とは

 拘束力をもたないAPECに対し、協定で自由貿易を進めよう、というのがNAFTA(北米自由貿易協定)です。1989年にアメリカは、最大の輸出相手国であるカナダとの間で関税の撤廃や投資の自由化を行う米加自由貿易協定を締結。これにメキシコを加えて発足しました。

 EUの市場統合は、通貨、政治と国自体を1つにすることで進んでいますが、NAFTAは貿易・金融市場を完全自由化することを趣旨としており、これは間もなく達成される予定で、現在は地域の拡大が進められています。

 それがFTAA(米州自由貿易圏構想)です。1990年にブッシュ大統領が提唱した、北米・南米両大陸を1つの自由貿易市場にしよう、という壮大な計画です。南米大陸にはMERCOSUR(南米南部共同市場)という自由貿易市場を目指す機関があり、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイが加盟しています。

 さらに、ラテンアメリカ11か国が加盟するALADI(ラテンアメリカ統合連合)やカリブ共同体市場などもあります。1994年1月にマイアミで開催された米州サミットで、これら南米・北米34か国が2005年末を目標に統一市場化することで合意しました。

 世界のGNP比で約37%、人口で7億7000万人の巨大市場です。ただし,まだ具体的な方針が決まったわけではなく、中南米には通貨危機の懸念も残っており、実現には時間を要しそうです。

 ほかにも,世界にはインドと南アフリカが「インド洋経済圏構想」を提唱する動きなどがあります。将来的には、このような地域自由貿易市場がいくつかにまとまっていくと思われます。1990年代に地域圏がクローズアップされた背景には、東西冷戦の終焉があります。それだけに安全保障もにらんだ動きとなっているので一筋縄ではいきません。


弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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