APEC(アジア太平洋協力会議)とは

 APEC(アジア太平洋協力会議)はアジア・環太平洋地域の経済協力や自由貿易の拡大について協議する会議です。1989年にオーストラリアの首相によって提唱され、オーストラリア、カナダ、アメリカ、日本、韓国、ニュージーランドおよびASEAN(東南アジア諸国連合)6か国の12か国で発足。その後、中国、台湾、香港、メキシコ、チリ、パプアニューギニア、ベトナム、ペルー、ロシアが加わり21か国。GNPで世界の約50%を占める巨大地域圏です。

 現在、EUをはじめNAFTA(北米自由貿易協定)など、世界経済は地域統合への活発な動きがみられます。地域統合が進むと地域内での貿易は安定しますが、地域から外れた国は阻害され、また世界全体の経済拡大もスムーズにいきません。歴史を見ると、地域統合への動きは「ブロック経済」となり、第2次大戦につながっています。それゆえ自由貿易が各国の理念になっていますが、一方では成長地域に遅れるわけにはいきません。

 このようなことからEUが着々と統合への準備を始め、これに対抗する勢力としてAPECがあるのです。といっても、APECはこれまでのブロック化を目指す地域統合とは異なります。その理念は「開かれた地域協力と協調」となっています。

 これまでの活動内容としては、1994年にAPECの非公式首脳会議で「ボゴール宣言」が採択され、域内経済の経済技術協力の推進、貿易と投資の自由化・円滑化を先進国では2010年までに、途上国では2020年までに達成することとなっています。この成果は域外にも適用され、また法的に自由化を拘束することもありません。開かれた地域協力を自主的に各国が行うというすばらしい理念ですが、1997年のアジア通貨危機の際に何も有効な議論・対策が打ち出せなかったことも事実で、何らかの方針転換が求められそうです。


弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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