ヘッジファンドって何?

 ヘッジファンドとは、金融ハイテク技術・理論を駆使して高い運用益を目指す投資信託のこと。限られた高所得者から資金を集め、ファンドマネージャーがさまざまな金融商品に投資・運用します。米国証券取引委員会へ報告義務のない私的で非公開の投資信託です。 92年の欧州通貨危機で暴落を演出したのは、投資家でヘッジファンドの主宰者、ジョージ・ソロス氏だと言われます。英国通貨当局の必死の介入を敵に回し、たった一人の投資家が巨額の資金でポンドを売りあびせ、英国通貨当局に「お手上げ」宣言をさせたのです。

 ヘッジファンドの特徴はハイリスク・ハイリターン。動かす資金が大きいため株式相場や為替相場に大きな影響を与えます。たとえば、アジア金融危機、ロシア経済危機もヘッジファンドが引き金を引いたとされます。現在、世界に1200のファンドがあるとされ、そのパワーは無視できません。

 そもそもヘッジとはリスクを回避する意味ですが、1990年代に入りデリバティブ(金融派生商品)を多用するようになり、わずかな資金で大きな取引ができるレバレッジ(てこ)効果を得て巨額の投機マネーに成長したのです。ヘッジファンドが動かす資金は2000億ドルともいわれています。それだけに、為替や株式相場が大きく揺れるたびにその動向が注目され、相場の秩序を乱すことから「ヘッジファンド悪玉論」も登場しました。

 1998年のロシア金融危機では予想外の通貨切下げに合い、巨額の損失を出すファンドがでました。このとき、このヘッジファンドにアメリカの多くの投資銀行が投資していたことが発覚。その不良債権が米国金融システムの秩序を乱しかねないと再び問題になりました。このことから、レバレッジを使ったむちゃな投機は規制される動きとなり、最近はそのパワーにも衰えが見え始めました。


弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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