円高、円安って何?

 円高とは、外貨に対して「円」の価値が上がることをいいます。たとえば、昨日1ドル120円が今日110円になれば、110円で1ドルが買えることになります。「円高」です。逆に1ドルが130円になれば、円の価値が下がったわけで「円安」です。

 昨日まで120円だったアメリカの商品が今日は110円で買えれば、10円の円高で、円の価値が上がってドルの価値が下がったわけです。円高になると、海外旅行に行ったときに多くのモノが買えて得です。逆に円安では、あまり多く買い物ができなく損。

 しかし、こと企業活動となると円高はメリットだけでなくデメリットもあります。日本が貿易立国、つまり輸出産業で成り立っているからです。たとえば、ある自動車メーカーが1万ドルで自動車を輸出したとすると、1ドル200円なら200万円の利益。しかし、1ドル100円なら100万円と利益は半分になってしまいます。このように、円高は輸出産業にとっては、まさに死活問題といえます。

 1980年代後半から1990年代前半の日本は、まさにこの円高に見舞われた時代でした。しかし、1995年以降は再び円安傾向に。円安になればまた製造業の業績が上向くはずですが、今回はそう単純にはいきません。多くの製造業が海外に生産拠点を移してしまっているためです。こうなると円安はかえって不利です。

 そもそも、今日の円高の背景には巨額の貿易黒字があります。輸出が増えて国際収支が黒字になると外貨が日本に流入します。いわゆる「円買い・ドル売り」です。また、日本経済に対する信頼が高まれば円高に動き、国内が不況になれば逆に円安に。さらにアメリカ経済がよくなれば相対的に円安になります。こういったさまざまな要素が絡まって、円ドル・レートは動いているのです。


弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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