◆シロウトには危ない?先物取引

 先物取引とは、将来の一定期日に、現在の時点で取り決めた価格によって取引を行うことです。金利、通貨、債券、株式などを扱う金融先物と、小麦などの穀物や原油、金、銅などを扱う商品先物があります。

 たとえば、ある会社の株価が100円のときに、今後の売上げアップを予想する投資家が3か月後に102円で株式を買う約束(先物買い)を結んだとします。予想通り3か月後に株価が105円に上昇したとしたら、先物の約束通りに102円で債券を買い、同時に現物の取引所で105円で売る反対売買をすることで、差し引き3円の利ざやが稼げることになるのです。

 この取引の魅力は、少ない資金で大きな取引ができること。現物では取引と同じ金額が必要ですが、先物では現物のたった数%分の証拠金だけで取引できます。証拠金率が仮に3%とすると、実際にもっている資金の33倍以上の取引も可能なのです。小さな力で重いものを動かすテコの原理に似ているため、レバレッジ効果(テコの効果)があるといいます。少ない資金で大きく儲けられますが、逆に予想が外れると損失も巨額。ハイリスク・ハイリターン商品の典型です。円の金融先物取引は、89年に開設された東京金融先物取引所で集中的に取引されています。

 商品の先物も、そのしくみは金融先物と同じ。日本の商品先物市場のルーツは江戸時代に大阪・堂島で行われていた米の取引にまでさかのぼります。当時、米は豊作と凶作が繰り返されており、米の値段に一喜一憂していた商人が生み出したそうです。現在、商品先物取引が行われているのは、貴金属やゴムを扱う東京工業品取引所、穀物を扱う東京穀物取引所など計7箇所となっています。


弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

株式会社アイ・イーシー 東京都千代田区飯田橋4-4-15
All Rights Reserved by IEC
本サイトのコンテンツの無断転載を禁止します