ナレッジ・マネジメントって何?

 企業には業務を通して蓄積された知識やノウハウがたくさんあります。たとえば、業務マニュアル、工程管理表、社員独自の営業術などがあります。これらの知識をまとめて経営資源の1つとして活用しようというのがナレッジ・マネジメントです。営業なら、ベテラン営業マンの商談手順や効果的な話術などをデータバンク化して、これを全社員が活用することで、新入社員でも効果的な営業が可能となるのです。

 このナレッジ・マネジメントが注目される理由は、これまでのマニュアル作りとは異なり、文字や数字で表せない経験や勘までもデータ化し活用する試みであるからです。飛行機の操縦でいうと、いくら教本を読んでも、実際にさまざまな状況で操縦した経験からくる感触やノウハウの蓄積がないとプロとはいえません。このようなノウハウを「暗黙知」といいます。また、教本のように容易に文字で表せる知識を「形式知」といいます。ナレッジ・マネジメントのポイントは、社内の暗黙知を形式知に置き換えることです。

 外資系コンサルティング会社のアンダーセン・コンサルティングでは、1991年からコンサルティングを進めるうえで有効な情報や文書をデータ化、知識を世界中の社員が共有するしくみをつくっています。また、アメリカのナレッジ企業として有名なルーセント・テクノロジーでは、商品への顧客からの質問内容と解決法をデータバンク化。このデータを顧客に開放することで業務効率が上がり、顧客も迅速に回答が得られるようになりました。

 日本でも、熟練技術者の知識やノウハウを次世代に継承する取組みを行う会社が出てきました。インターネットの普及で全社員が知識を共有する環境はますます整ってきています。全社員が各人の知識を積極的に開放しようとする姿勢があれば、知識の集積が新たな価値を生むこともあります。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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