◆なぜキャッシュフローが必要なのか?
キャッシュフローとは、「現金の出入り」の意味です。これが経営のキーワードとなったのは、国際会計基準で「連結キャッシュフロー計算書」(親会社・子会社等の企業集団全体での資金の収支を示した計算書)の作成が義務づけられたことがきっかけです。しかしそれだけではなく、金融ビッグバンで企業の資金調達法が、従来の銀行融資である間接金融から、社債発行などで調達する直接金融にシフトしているからです。直接金融では必ずしも思い通りの資金調達ができるとは限らないので、いざというときのために手持ち資金を増やしておくことが大切。そこで、キャッシュフローが企業の強さや安全性を表すモノサシとしてクローズアップされています。
今まで日本の企業は、売上高やマーケットシェアを重視した経営スタイルをとってきました。そのため利益が出ると設備投資を拡大させます。しかも売上げは掛売りが主流で、在庫もたくさん抱えています。これでは現金は溜まりません。もし銀行が融資を渋ったら、売掛金や在庫はあるのに今日の決済ができず倒産してしまうでしょう。黒字倒産です。
そこで、現金をうまく管理することが求められます。実際の方法としては、売掛金を減らすこと、余計な在庫を抱えないこと、過剰な設備投資はしないことなどです。
よく考えてみれば、当たり前のことばかりです。しかし、企業は規模が大きくなると、どうしても最新設備を導入して売上拡大を図ったり、大きな取引では掛売りをして、現金の回収が数年以上にわたりがちです。これからは「キャッシュフロー計算書」を作成して、現金の流れに注目した経営と意思決定が求められます。アメリカでは、間接金融よりも直接金融が主流であったため、キャッシュフロー経営がすでに根づいており、現金の流れから企業の安全性や成長力を計る指標が以前からあったのです。
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