グローバル・スタンダードとは?

 グローバル・スタンダードを直訳すると「世界標準」。1つの国だけでなくどこの国でも通用する規格やルールのことです。東西冷戦が終結し、情報通信技術の発展で世界の市場が1つになってきたことから注目されています。世界の市場が1つになれば、商品の規格や商売のルールが統一されていたほうがビジネスがやりやすくなるからです。  そこで、さまざまな分野で世界の標準規格をつくる動きが活発になっています。たとえば、欧州ではISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)という工業品の品質規格を世界標準とすることをWTO(世界貿易機構)に提案しました。

 このような世界標準規格は貿易における商品の二重審査の不便をなくすことができますが、メリットはそれだけではありません。自国(自社)の規格を世界規格に押し上げることが、世界市場を制することにつながるからです。そのため、情報機器や携帯電話などの技術を、世界統一規格に押し上げる戦いが繰り広げられています。

 世界標準には2つの種類があります。デジューレ・スタンダード(公的標準)はISOなど国際機関が定める標準規格。デファクト・スタンダード(事実上の標準)は公的な承認ではありませんが、世界中で大きなシェアを獲得し事実上の国際規格になっているもの。パソコンのOS「ウィンドウズ」やCPUのインテルプロセッサーなどです。

 最近では次世代携帯電話、情報家電、DVD、電子マネー、ITS(高度道路交通システム)などの分野で、各国の企業が世界標準の獲得に向けてしのぎを削っている状況です。欧米ではすでに、グローバル・スタンダードが企業や産業そのものの競争力を高める手段として明確になってきています。今後は日本も、国と企業が協力して世界標準を獲得していくことが求められているのです。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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