◆ストリーミング配信技術

 ストリーミング配信技術(streaming distribution technology)とは、映像(動画)や音声データをリアルタイムで再生する技術の総称です。通常、インターネットを利用して映像や音声のデータをダウンロードして再生するためには、一旦データをすべてダウンロードしてから再生を行います。これに対して、ダウンロードしながら同時に再生することを可能にした技術です。映像や音声はデータ量が大きいので、待たずに再生できるのは、インターネット利用の配信には非常に期待の大きいメリットです。これにより、各種マルチメディア・コンテンツが待ち時間なく再生できるようになり、また、インターネット放送(インターネット・ラジオ、インターネット・テレビ)も可能となります。

 ストリーミング配信技術では、データの受信と再生を同時に行うため、ダウンロードしたデータを一時的にためておくバッファーというはたらきを利用します。いわば、データを貯めておくプールを用意し、一方の蛇口から水(データ)をどんどん流して貯め(ダウンロードし)ながら、他方の蛇口から水(データ)を使う(再生する)という方式です。しかし、この方式を成立させるためには、配信速度が再生速度より大きいという条件が必要です。そうでないと、再生する映像や音声が途切れ途切れになってしまいます。

 こうした条件をクリアするために、ストリーミング配信技術では、伝送速度を大きくできるプロトコル(通信規約)を用います。例えば、DUP(User Datagram Protocol)というプロトコルでは、TCP(Transmission Control Protocol)にあるデータが正しく送られたかを確かめる機能を省略して伝送速度を高め、受信側のソフトウェアで補正する方式をとっています。技術的には発展途上ですが、ストリーミング配信技術は、インターネット配信技術の目玉になるにちがいありません。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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