◆MP3(音声データの圧縮規格)

 MP3は、音声データの圧縮技術の1規格、MPEG Audio Layer-IIIの略称で、この技術を使って作成された音声ファイルを指すこともあります。MPEG Audioは、映像圧縮技術MPEG(Moving Picture Experts Group)から音楽圧縮の部分を取り出したもので、Layer-I(圧縮率1/4)、Layer-II(同1/6)、Layer-III(同1/10)の3種類があります。MP3は圧縮率が10分の1と最も高いので、伝送速度が速くないインターネット上での音声データの配信に向いています。因みに、DVD(Digital Versatile Disc:多機能光ディスク)では、MPEG Layer-IIが採用されています。

 音声波は、元々アナログ(連続して変化する物理量)で、ラジオや地上波テレビはアナログのまま電波伝送を行っています。このアナログの音声波は、PCM(Pulse Code Modulation:パルス符号変調)という技術を用いてデジタル音声データ(時系列の数字データ)に変換することができます。CDなどは、このデジタル音声データをそのまま記録しています。しかし、インターネットを利用してデジタル音声データを配信すると、データ量が大きくて転送に時間がかかり、記憶媒体に記録するにも大きな容量のデスクが必要になるという問題があります。そこで、データを圧縮する必要がある訳です。

 MP3は、こうした課題を一気に解決しました。データ量が10分の1になっても、元の音声と区別がつかない品質をも備えています。この技術により、インターネットを利用した音楽配信が可能となり、ユーザーは、簡単に音楽コンテンツをダウンロード(Webサイト等にあるデータをユーザーのパソコン等に取り込むこと)することができます。また、携帯MP3プレーヤーにダウンロードし、どこでも音楽の再生を楽しむこともできます。音楽著作権の保護等の課題がまだありますが、MP3は、音楽の楽しみ方を今後大きく変えるにちがいない技術です。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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