◆XDSL(電話回線の高速データ通信技術)

 通常の電話回線を利用して高速のデータ通信を行うハードウェアや技術を総称して、XDSL(Digital Subscriber Line)といいます。従来の電話線(一対の銅線)をそのまま使用しますが、電話局側と加入者側に対応装置(XDSL専用モデム)を設置することにより、通話用よりも高い周波数帯を利用して、高速データ通信を可能にするものです。
 従来の電話回線は、人の音声(300〜3400Hz:1秒間に300〜3400回の空気振動)を伝えるために設計されており(4KHz帯域用)、データ通信としては56Kbit/秒程度の速度でしか利用できません。これでは、音声や動画等の情報量の大きいデータを通信する(少なくとも1Mbit/秒程度必要)には不十分なため、CATV(ケーブルテレビ)ケーブルの利用や、FTTH(Fiber To The Home:光ファーバーケーブルの各家庭設置)等の大容量通信路の計画が挙がっています。しかし、それには多大の設備投資と時間が必要なため、そうした計画が実現するまでの間、従来の電話回線を利用して高速データ通信を可能にしようとする技術が、このXDSLなのです。
 XDSLには、次のようないくつかの方式があります。

・ADSL(Asymmetric DSL):上り(加入者の発信方向)最大1Mbit/秒程度、下り(加入者の受信方向)最大8Mbit/秒程度の非対称速度(上りと下りの通信速度が異なる)。電話と同時利用可能。

・HDSL(High-bit-rate DSL):最大2Mbit/秒程度の対称速度(上りと下りの通信速度が同じ)。

・SDSL(Single-pair DSL):最大2Mbit/秒程度の対称速度。電話と同時利用可能。

・VDSL(Very- high-bit-rate DSL):上り最大1Mbit/秒程度、下り最大50Mbit/秒程度の非対称速度。電話と同時利用可能。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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