◆VPN(インターネットの私設利用)

 VPN(Virtual Private Network)は、直訳すると「仮想私設網」または「仮想閉域網」となりますが、企業等がインターネットなどの公開ネットを自分たち専用のネットワークと同様に使うことを総称していいます。例えば、ある会社のA支社内とB支社内でそれぞれLAN(Local Area Network:構内通信網)を設置し、2つのLANの間をインターネットで結び、A支社とB支社をまとめた形で、専用のネットワークを形成することなどがそれです。2つのLAN間の接続方法には専用回線、ISDNの利用、インターネットの利用の3つありますが、インターネットの利用が経費的には最も有利です。ただし、インターネット利用の場合には、秘密保持のためのセキュリティー対策が必要になります。また、ネットの利用目的によっても、選択の余地があります。音声や画像をやり取りする場合には、インターネット利用はQOS(Quality Of Service)の点でまだ不十分で、容量の大きい専用回線が向いているといえましょう。

 VPNの内部では、2〜7桁の任意の電話番号体系を設定して、加入者がその電話番号を利用して、自由にネットワークに参加します。そうすると、インターネット等を社内の内線電話のように利用できるわけです。

 日本の公衆回線利用のVPNとしては、1994年にNTTが「メンバーズネット」の名前で、1995年にはDDI(第二電電)が「VPネット」、日本テレコムが「Jネット」、テレウェイ(後にKDD)が「テレウェイスーパー」の名前でそれぞれ事業を開始しました。また、国際通信では、KDDが「VIRNET」、日本テレコムが「SERVENT」、ケーブル・アンド・ワイヤレスが「I Net」の名前でそれぞれ事業を行っています。もちろん、アメリカでは、日本に先行して、いくつかの事業が始まっています。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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