◆売買代金の支払いをめぐるトラブル
売買契約においては、代金を支払うことが買い手の主な義務となります。つまり、商品(サービス)の代金を支払わなければならないということです。実際の売買契約においては、当事者間の合意に基づいて、その場で目的物と代金の支払いが同時に行われたり、支払いの時期や方法、代金の額が定められることが普通でしょう。民法では、こうした取り決めがない場合について定めていますが、とくに特殊な規定はありません。
では、売買代金の支払いをめぐるトラブルとは、どんな場合に起こるのでしょう。クレジット契約においては、信販会社と買い手、販売店の3者間で契約が結ばれるため、その権利義務関係が複雑になり、良くトラブルが起こります。例えば、あなたがある品物を購入し、支払いをクレジットの分割10回払いとしました。しかし、品物はいっこうに届かないのに、信販会社の代金の引き落としはどんどん進んでいます。この場合でも支払いを続けなければならないのでしょうか。
この場合、あなたは、販売店と売買契約を結び、信販会社と立て替え払い契約を結んでいることになります。このふたつの契約は別の契約なので、信販会社があなたに代金支払いを求めるにあたっては、あなたと販売店との間の事情は無関係といわれてもしかたのないように思えます。実際、以前はたしかにそうなっていました。
しかし、「割賦販売法」が改正されたことにより、割賦購入斡旋契約において、商品が届いていない、あるいは届いた商品が欠陥商品であったというように、買い手が売り手に支払いを拒否できる理由(抗弁事由)がある場合は、信販会社に対しても支払いを停止することができるようになったのです。ただし、割賦販売法で指定されている4万円以上の商品でなければなりません。一括払いやローン提携販売の場合も対象外です。
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