◆キズもの商品って返せるの?

 売り手には、買い手に対して欠陥のない完全な商品を引き渡す義務があります。したがってキズもの商品を購入した買い手は、売り手に対してその履行、つまり完全な商品との交換を請求することができます。

例えば、あなたがビデオカメラを購入したとしましょう。そして、そのビデオカメラで撮影してみたら、ピンボケの映像しか映りませんでした。もちろん、操作ミスなどではありません。明らかにそのビデオカメラが不良品だったのです。そんな場合、あなたは販売店に対して、完全に動作する製品との交換を求めることができるわけです。これはあたりまえの話であるように思えますが、この場合、販売店とあなたとの間に売買契約が成立しているのであって、あなたとメーカーとの間には売買契約はないことに注意してください(品質保証はまた別種の契約です)。

 ただし、これは大量生産されている新品の製品など、同じ商品と取り替えが可能なもの(不特定物)についてです。売り買いするのは、同種の製品がいくらでもあって交換可能なものばかりではありません。同一のものが他には存在しない商品、たとえば骨董品や中古商品など(特定物)の場合は、売り手は欠陥があっても現状で引き渡せば良いとされています。

 しかし、その場合、あとから欠陥が見つかっても買い手は債務不履行責任を問えないことになります。そこで、特定物の買い手は、購入の際にはわからなかった欠陥があったことを理由に、売買契約を解除するか損害賠償の請求ができるのです。法律的にはこうした商品の欠陥を「瑕疵」といい、買い手が売り手に対して売買契約の解除や値引き、損害賠償の請求を行うことを、「売主の瑕疵担保責任を問う」といいます。契約の解除および、損害賠償の請求は、瑕疵を発見したときから1年以内に行わなければなりません。




弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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