◆どっちを選ぶ? 相続税と贈与税

  「相続税と贈与税のどちらを選ぶか」という問いを耳にすることがあります。これはどういうことなのでしょうか。まず、この2つの税のちがいを確認しておきましょう。

 相続税というのは、死亡した人の財産を受け継いだ場合、その財産に対して課せられる税金のことです。一方、贈与税というのは、個人から財産をもらった場合にかかってくる税金です。つまり、死後にもらえば相続税がかかり、生前にもらえば贈与税かかります。贈与税は相続税を補完する税金といわれます。

 では、同じ財産を相続した場合と贈与された場合で、課せられる税金の額は同じなのでしょうか? 贈与税のほうが税率が割高になっていますので、基本的には贈与税のほうが不利だといえます。
 ところが、たとえば孫や息子の嫁など法定相続人以外の者に財産を与えたい場合には、贈与のほうが有利なケースも生じます。なぜかというと、配偶者や子以外の者が相続によって財産を取得した場合の相続税額については、税額に20%が加算されるという規定があるからです。しかも、贈与税の基礎控除は1人1年60万円なので(つまり1年あたり60万円以下の贈与には贈与税はかからない)、計画的に連年贈与を繰り返せば税額を減らすことも可能なのです。また、贈与税も相続税も最高税率はどちらも70%なので、最高税率の適用される人なら将来評価額の上がりそうな資産を今のうちに積極的に贈与しておくほうが有利かもしれません。

 以上のように、控除や非課税制度、特例もさまざまな上に、将来的な不動産や有価証券の価格変動など不確定要素もからんでくるので、単純にいくらの財産ならどちらを選べば得かというのは難しく、緻密なシミュレーションが必要でしょう。








弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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