◆働く人のための法律とは?
憲法27条には、勤労、つまり働くことは、すべての日本国民がもつ権利であり義務であると記されています。さらに、賃金や就業時間、休息などの勤労条件に関する基準は法律で定める、と続けています。この勤労条件に関する基準を定めた法律が「労働基準法」です。「労働基準法」は最低の労働条件を定め、これに満たない労働契約は無効とするなど、あらゆる事業を適用の対象とし、労働者の基本的な権利を守るものです。
「労働基準法」のほかにも、さまざまな労働関連の法律があります。労働条件に関わるものとしては、職業の種類や地域に応じて賃金の最低額を保障する「最低賃金法」、さまざまな状況により賃金支払いを受けることが困難になった場合に労働者を保護する「賃金の支払いの確保等に関する法律施行規則」などがあります。労働災害関連では、労働者の危険や健康障害防止のための措置を扱った「労働安全衛生法」、いわゆる労災保険を扱う「労働者災害補償保険法」などがあります。失業者の救済のためには「雇用保険法」があり、失業した状態でも条件によって保険金の給付が受けられるよう保護しています。
また、労使関係の基本法ともいえるのが「労働組合法」です。労働者が使用者と対等な立場にたって交渉することを促進し、労働者のさまざまな活動を擁護、助成するための法律です。ただし、公共企業体に勤務する労働者には「公共企業体等労働関係法」、国家公務員については「国家公務員法」が適用され、それぞれ労働者の権利について制約が設けられています(争議行為の禁止など)。
時代の流れにつれて整備されてきた法律も少なくありません。パートタイマーを対象にした「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(平成5年)、「育児・介護休業法」(平成9年改正)、「男女雇用機会均等法」(平成11年改正)などがその代表です。
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