◆南の玄関 広東省

中国の南の玄関口である広東省は、1979年からケ小平がスタートした改革開放政策のモデル地区として、めざましい発展を遂げてきました。

中国政府が最初に設置した5カ所の経済特別区(外資・技術の導入を目的に設けられた保税区)、深セン・珠海・汕頭・海南島(海南省)・厦門(福建省)のうち、3カ所が広東省に集中。

その後も、孫文の出身地である中山、日本(合弁)企業が多数進出している東莞など省内28の市と県から構成される「珠江デルタ経済開放区」が設置され、経済特別区のサポート役として重要な役割を担っています。

その特別区のなかでも深?市の発展ぶりは別格で、真新しい高層ビルが並ぶ様子は「リトル香港」といった趣。開放政策以前は宝安県という辺鄙な一漁村だったとは想像も及ばぬ変貌ぶりです。深センをはじめとする各都市が「社会主義的市場経済」という前例のない新システムをスムーズに受容することができたのは、香港に隣接するという地理的要因が大きいでしょう。

早くから香港イズムを吸収していた同地区の人々にとって、改革開放時代の到来は、自身の商才を存分に発揮する好機だったに違いありません。香港と接する深?には羅湖など複数のボーダーが設けられおり、返還以降も一般の中国人は自由に往来できる訳ではありません。いぜん香港は「近くて遠い」存在なのです。

広東省の紹介となると、つい経済に話題が偏りがちですが、2800年もの歴史を有する古都であり、「食在広東」と称される広東料理の本場でもあります。省都・広州は、唐代には「海のシルクロード」として賑わい、現在、世界で活躍中の華僑の多くもここから新天地へと雄飛していきました。

彼ら華僑資本抜きにして改革開放の成功はなかったといわれるほど、広東チャイニーズの影響力は絶大なものがあります。毎年、春と秋に開かれる交易会も有名で、大会期間中は世界各国からビジネスマンが殺到。観光客の入り込む余地はなくなります。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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