◆今も昔も刺激的な大都市 上海

10年前と現在を比べ、最も変貌を遂げた都市といえば、経済発展の牽引役・上海がまず挙げられるでしょう。

1人当たりのGDP(国内総生産)は、次位の北京(19846元)を大きく引き離す30805元。摩天楼を彷彿とさせる高層ビル群は、まさに「政治の中心が北京なら経済の中心は上海」というキャッチコピーそのままの情景といえます。

大規模な開発はアジアの国際金融センターを目指す浦東地区を中心に進められており、建国50周年に当たる2000年10月1日には新空港がオープン、昨年10月にはAPECも開催され、躍進する上海を世界にアピールしました。

しかし、1930年代には「魔都」と呼ばれた上海の魅力は「新しさ」だけに支えられている訳ではありません。当時はモダニズムの先頭を走っていたオールド上海の残影は、いまも蘇州河周辺の外灘に偲ぶことができます。重厚な洋風建築が並ぶ観光名所の外灘は、元は欧米列強の租界地。門扉に「中国人と犬入るべからず」と書かれるなど中国人は屈辱的な侮蔑に耐え続けましたが、一方では刺激的なデカダンス文化が花開いたのです。

上海の観光名所は、北京のように悠久の歴史を感じさせるものは多くなく、近現代史と関わりの深い場所が中心となっています。魯迅、孫文、孫文夫人・宋慶齢の旧居、毛沢東らが1921年に共産党第1回全国大会を開いた「一大会址」などがその代表。

このほか、アジア1の高さを誇る東方明珠タワー、明代に四川の役人が父の望郷の念を慰めるため造営した豫園なども必見です。

「政治は北京」といわれるものの、もちろん上海が政局と無縁という訳ではありません。例えばあの文化大革命も、江青ら「四人組」が上海で発動した運動が全国に拡大したものでした。

また、江沢民や朱鎔基も以前に上海市長を経験しています。そんな経緯もあり、上海人は北京人に対し、対抗心や優越心を持っているようです。上海人と付き合う際には心に留めておきましょう。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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