◆中国の世界遺産・自然・複合遺産
中国28の世界遺産のうち、ここでは自然・複合遺産7カ所を紹介します。
@泰山(山東省・1987)A黄山(安徽省・1990)B九寨江(四川省・1992)C黄龍(四川省・1992)D武陵源(湖南省・1992)E峨眉山と楽山大仏(四川省・1996)F武夷山(福建省・1999)※カッコ内は登録年――となっていますが、いずれも天下の名山、あるいは山間部にある桃源郷です。
「泰山鳴動して鼠一匹」の諺で知られる泰山は、中国五大名山の第一山。雲海と御来光の雄大なパノラマが有名ですが、歴代皇帝の封禅(皇帝が太平の世の実現を神前で報告する儀式)の行われる聖地としても名高く、秦の始皇帝、唐の玄宗皇帝など72人が訪れています。登頂を果たせば不老長寿が得られるという信仰があり、いまも山頂を目指す善男善女は引きも切りません。
奇峰奇松が林立する黄山は、山水画そのままの幽玄な奇勝が人々を魅了しています。明代の高名な地理学者・徐霞客の「五岳(泰山など)から帰った者は普通の山など目に入らない。が、黄山から帰った者はその五岳でさえ目に入らない」という言葉が、その美しさを端的に表現しているといえるでしょう。
九寨江と黄龍は、近年特に注目が高まっている桃源郷です。鏡のように澄んだ水、原生林に囲まれた無数の瀑布、かつては「最後の秘境」との冠詞が最もふさわしい場所だったのですが、近年は観光客の急増により環境汚染が深刻化しています。
武陵源は通称・張家界。日本ではあまり知名度は高くありませんが、中国人の間では知らぬ者はないほどの有名人気観光地です。雄大な風景ばかりではなく、苗(ミャオ)、土家(トゥチャ)など少数民族との出会いも楽しめます。中国四大仏教聖地の峨眉山は、古来「仙人の棲む山」と称されてきました。静寂だけが支配する山頂の趣は、まさに世俗とは隔絶された別世界です。
武夷山は烏龍茶の名産地。銘茶を楽しみながらの景勝・九曲渓下りは格別です。
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