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第10回:
日本はこのままで良いの?
ヒューマン・トラフィッキング
▲ウィンブルドンに行ってきました!
2年連続で同じ審判と写真をとってもらいました。
(ロンドンの第33回の日記!)
▲去年はセンターコートだったのですが、今年はナンバーワンコートでした。
でもやっぱりウィンブルドンは最高です。
テニスが好きな方はぜひ!
オランダではマリファナなどのソフト・ドラックだけでなく売春も合法化されています。ヨーロッパでは売春の合法化の方に動いている国が多く、スイスやドイツ、ハンガリーなども合法化しています。オランダでは、売春婦は、18歳以上でなくてはならず、所得税も払います。自営業と同じ扱いになっています。健康保険や社会保険にも加入できます。2万〜2万5千人ほどの売春婦が働いています。

 先月、アムステルダム市が売春婦の独立についての覚書を発表しました。アムステルダムはこれまで基本的には売春業界を縮小させようとしてきました。一方で、この覚書は売春婦の地位向上と権利の拡大をうたったもので、売春婦と売春宿との間の正式な労働契約書の義務付けや、性病や衛生管理の徹底などが盛り込まれています。

 この覚書の目玉は、虐待や強制・違法売春、人身売買などから売春婦を守ろうというところにあります。オランダでは、売春自体は合法なのですが、そこで働く人々のなかには違法の移民も少なくありません。そして、彼女たちのなかには自ら選んで来たわけではない、連れてこられた人たちがいるのです。人身売買です。売春宿が不法の移民や人身売買で連れてこられた売春婦を使えないようにするための覚書でもあるのです。

 人身売買は、ヒューマン・トラフィックやセックス・トラフィッキングなどと言われ、解決すべき重大な問題だと考えられています。貧しい地域から子どもを買ってきたり、誘拐したりして、人間が売買されているわけです。オランダの売春はその大きな輸入先であり、この問題を解決する大切な一歩がこの覚書なのです。オランダでは政府は覚書を発表し、メディアはそれを報じ、人々はその問題に関心を持っています。

 人身売買は、日本も大きな問題を抱えています。日本は人身売買された人間の大きな輸入国です。誘拐されたり、親に売られたりした女の子を大量に輸入しているのです(もちろん違法に)。アメリカのヒューマン・トラフィッキングのレポートでは、日本はTier 2と呼ばれるセクションに分類されてきました。2007年のレポートでも依然としてここに分類されています。このセクションに分類されているのは、人身売買をなくすための最低限の基準を満たせていない国です。ここに分類されている先進国は日本ぐらいです。ここに分類されているのは、アフガニスタンやアンゴラ、ナイジェリアなど、政情が不安定だったり、経済的に発展していない国ばかりです。オランダにしても他の先進国と同様にTier 1に分類されています。日本よりもまだましなのです。

 インドの売春村を扱ったドキュメンタリー映画のBorn into Brothels(邦題は『売春窟に生まれて』でしょうか)にでてくるような村の子供たちが親から売られたり、普通に生活していた子どもが誘拐されていきなり日本に連れてこられています。でも、マス・メディアではなかなか取り上げられない。日本のヒューマン・トラフィッキングとそれへの対処のニュースなんてほとんど新聞ではみません。テレビはお笑いとグルメとクイズ。映画もデート・ムービーばかりで、ドキュメンタリーなんてオスカーをとっていても、ほとんど上映されない。歴史的には人身売買の輸入国だったわけですが、それがいまでもだなんてほとんど知らされない。

 誘拐されて海外へ連れ去られたり、海外で誘拐された邦人を守ることは国家として最も重要な事の一つです。それでも、日本人は誘拐されては困るけど、外国人なら別に良いでは“まとも”な国じゃない。僕たち個人でできることは限られていますが、少なくとも日本がどんな国なのかについては常にアンテナを張っておきたい。何も知らずに、「日本は良い国!」なんて思わされているのはまずい。オランダはこの問題について動き出しましたよ。日本はこのままで良いの?


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