第25回: シカゴ留学日記最終回 アメリカって!?
太っている人が多い。ソニーはアメリカの会社だと思っている。何を食べても同じ味がする。みんな短パン、Tシャツで、ランニングシューズをはいている。日本に行くにはサンフランシスコから電車に乗れば良いと思っている人がいる。そんなアメリカですが僕は結構好きなのです。今回は、僕の好きないくつかのアメリカを書きたいと思います。
まず、選択肢がたくさんあります。休日の楽しみ方はさまざまです。日本のように一斉に帰省したり、最新のオシャレなところに行くこともありません(帰る所やオシャレなところがないからかもしれませんが)。キャリアのパスもさまざまです。大学にもいろいろな年齢の学生がいます。自分の好きなことをすれば良いのです。もしも失敗したとしても、やり直せばよいのです。どんどんチャレンジができるしくみになっているのです。仕事や学問、キャリアなどの選択肢は多いのに、レストランでの選択肢が少ないのが不思議です。もしかしたら、選択肢の総量は一定で、こういうところでバランスをとっているのかもしれません。
アメリカには、いろいろなバックグラウンドの人が住んでいます。人種や宗教のバラエティも多いです。日本でもいろいろな人がいますが、アメリカの方がバラエティに富んでいます。そして、たくさんの違う人々がそれぞれ快適に、自由に暮らすスベがあるのです。目が合ったら「ハイ!」とニッコリする。肩がぶつかりそうになったら声をかける。きれいな服を着ていたら「ナイス!」と褒める。これらは、「だれにも迷惑かけているわけではないから…」というのとは違うマナーです。これらはどれも「私はあなたに危害を加えるような人間ではないですよ」「一緒にそれぞれ快適に暮らしましょうね」というシグナルです。バックグラウンドが違う見知らぬものたちが、お互いに快適に暮らすためのスベなのです。以前の日記にも書きましたが、同調せずに協調するスベなのです。
また、いろいろなことが気軽です。服装は常に気軽です。学会でさえ、スーツの人はあまりいません。短パンをはいた人すらいます。もしかしたら、僕が学会と思って出席していたのは、誰かの誕生パーティーだったのかもしれません。僕はテニスをするのですが、アメリカではコートを予約して、高いお金を払う必要はありません。ラケットとボールをもって、少し歩けばすぐにきれいなテニスコートでプレイできます。気軽にプレーできるために、いろいろな人がテニスを楽しんでいます。フォームをまるで無視した独創的なプレーをしているファンタジスタも多いのです。テニスをしているよりも、話し込んでいる方が長いようなおじいちゃんもいます。ゴルフも気軽です。シカゴでは上質のジャズも気軽に楽しめます。夏には野外のイベントがたくさんあります。これらは全て、好きなときに行けば良いのです。この気軽さはほかに変えがたいものがあります。気軽だからこそ、みんなが楽しめる雰囲気があるのです。
このほかにも、渋滞が少ない、映画が安い、道にタンを吐くオジサンがいない、花粉症がない、ハンバーガーが美味しい、阪神タイガースが負けるのを見なくて良い、クラムチャウダーが美味しい(キャンベルの)などアメリカの好きなところはたくさんあります。もちろん、ウォシュレットがない、レストランでお味噌汁が前菜のスープとしてサーブされるのでそれを飲まないと次が出てこないことがある、阪神タイガースが勝つのが見られない、妻が太る、など好きでないところもあります。ただ、それでも、アメリカはもう一度住んでみたい国です。そんな国が生まれた国以外にいくつかあるのはそれだけで楽しいです。
最後に、シカゴは日本ではかなりマイナーな都市です。アメリカの都市なのに、「ところで、カナダは寒い?」なんて聞かれることもあります。冬は−20度にもなったりします。
ただ、シカゴもなかなかグッドです。夏は気持ちよく晴れる日が多く、都会的で清潔な都市です。カブスもブルズもベアーズもありますよ。観光にもどうぞ。
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