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あなたもやっている? 思考の「癖」

KNOW-HOW

人の思考パターンには、数字的な杓子定規の解釈では表せないような「癖」があります。そして、無意識のうちに、自分の幸せにとって非合理的な判断をしていることがあるのです。

そのため、陥りやすい思考の特徴をよく理解し、より合理的な判断ができるように心掛けておくことが大切です。今回は、思考の「癖」に関する2つの法則を紹介します。

 

①ピーク・エンドの法則

生きていると悲しいこと、辛いこと、楽しいこと、さまざまな体験をします。そうした過去の経験を思い出すとき、あなたはどのような場面、心理状態を思い出しますか? 仕事でも勉強でも、これまでにあなたが何かを成し遂げたときのことを思い出してみてください。どの状況が頭に浮かぶでしょうか。

このとき、一番よかったとき(ピーク)か、最後の瞬間(エンド)を思い出すことが多いのではないでしょうか。

 

 

これはピーク・エンドの法則といって、フォーカシング・イリュージョンという、人の不合理な行動を発見したダニエル・カーネマンが見つけた法則です。

人は、苦痛だったか、それとも快楽を感じたかは、ピーク(絶頂)かエンド(終わったときの程度)で決まり、その行動や活動がどのくらい続いたかは無視されるというものです。

つまり、人間は過去の出来事をすべて均等に思い出すようにはできていないということです。一番楽しかったことか、一番苦痛だったこと、最後にほめられてうれしかったことなどが最も印象に残っているというわけです。日本には、「終わりよければすべて良し」ということわざがありますが、これも、その一端を表しています。

 

 

実は、これはとても重要な教訓です。何かを成し遂げた過程がどれほど苦労を伴うことであったとしても、それに耐え抜き、最後によい結果を得られればすべて良し、幸せだと感じることができます。

逆に、成し遂げるまでの過程が楽しく、その状態が長く続いたとしても、最後の結果が悪ければ台無し、つまり不幸せだということです。

そうであるならば、たとえいまが辛くても、途中であきらめずに、しぶとく続けたほうが幸せになれる可能性が高いということです。

「幸せ」を目標地点として考えてみると、辛いからといって途中であきらめたり、逃避したりすることでは幸せにはなれません。幸せになりたかったら、最後の成功に到達するまで、やり遂げるべきだということが言えるのです。

 

 

 

 

②プロスペクト理論

ピーク・エンドの法則と同様にカーネマンが明らかにした人間の特徴として、プロスペクト理論があります。ひと言で言うと、「人が感じる価値の大きさは、客観的な数値に比例しない」というものです。事例を挙げて考えてみましょう。二つ質問をしますので、考えてみてください。

 

 

1.
あなたの目の前に、二つの儲け話があります。一つは、確実に100 万円儲かる方法で、もう一つは、50%の確率で200 万円儲かる(50%は儲けがゼロ)方法です。あなたならどちらを選びますか?

 

2.
あなたの持っている株が下落しています。選択肢は二つです。今売ると100 万円損をします。もう少し経つと、50%の確率で損失は2倍の200 万円(50%は損失ゼロになる)となりそうです。あなたならどうしますか?

 

 

あなたはどのような回答になりましたか?

一般的には、1では、確実に100 万円儲かるほうを選ぶ人が多く、2では、50%の確率でリスクが2 倍になるほうを選ぶ人が多くなります。これは、人は、よいことのときにはリスクを回避しようとし、損をするという悪いことの場合には、居直って勝負を仕掛けるリスクテイカーになってしまいがちだからです。

もう少し説明すると、100 万円と200 万円を比べたとき、人は、200 万円は100 万円の2倍の価値があるとは感じません。少し割り引いて感じてしまうため、利益を得るときには100 万円を確実に手にする方法を選んでしまいます。

一方、損失のときには、200 万円の損失は100 万円の2倍という感覚が低いために、マイナス200 万円かゼロかという、思い切った賭けに出てしまうのです。

 

 

 

 

 

プロスペクト理論は、株の損切りで取り上げられることが多いのですが、これを「幸せ」に置き換えてみると、何か二ついいことがあるとき、人は欲張らずに一つの「幸せ」で満足します。ところが、何か悪いことが起きると、それが解消されるのか、あるいは2 倍にも悪いことが膨らむ可能性があるとわかったとき、「解消」か「2倍」かのギャンブルのほうを選んでしまいます。

つまり、幸せは小さめで満足し、不幸せは居直ってリスクテイクしがちだということです。

 

 

まとめ

「ピーク・エンドの法則」は、特定の出来事が予想以上に「幸せ」に影響することを教えてくれます。また、「プロスペクト理論」は、「幸せ」と「不幸せ」について人は合理的な判断ができないということを示唆しています。

このような、思考の「癖」に関する法則を知っておけば、自分の幸せについて合理的な判断ができるようになるのです。

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