第23回:ロンドンに暮らす日本の芸術家
 先月はコメディアンのジョシュに登場してもらいました。今月は、ロンドンで活躍する芸術家の河田大作さんに登場してもらいましょう。徳島から東京、そしてロンドンと活躍の場を移し、ロンドンではその独創的な絵で人気を集めているアーティストです。なんでロンドンに来たのかを聞いてみました。


清水:河田さんはいつロンドンに来たのですか?なんでロンドンに?


河田:僕は96年に来たので、もうかれこれ10年ですね。日本の大学で演劇を勉強してね。卒業してから留学しようとしたわけ。ニューヨークに行こうと準備してたんです。飛行機のチケットも取って。そしたら、出発予定の2週間前になって、いきなりビザがとれないから行けないことになっちゃったんですよ。東京のアパートも引き払っちゃっていたから、行くところがなくて、とりあえず友達のところに泊めてもらうことになったのです。その友達の「ビザも取りやすいらしいから、ロンドン行ったら?」なんていうので、「あー。そーなのー?」なんて感じで、その2週間後にはロンドンにいましたよ。

清水:お気軽ですね。でもいきなり来て大変じゃなかったですか?

河田:それは大変でしたよ。とりあえず名刺ぐらいは作っていこうと思ってね。でも、住むところも決まっていなかったから、困っちゃって。だから、DAISAKU KAWADA, JAPANって名刺を作って持ってきたんですよー。

清水:あはは。偉そうな名刺ですね。ところで、河田さんはロンドン好きなのですか?ロンドンに来てからもう10年以上になりますよね。ロンドンの芸術と日本の芸術って違うのですか?


河田:んー。日本の芸術のことはちょっとよく分かりませんけど、ロンドンにはやっぱりいろいろな人がいますよね。それは好き。人種も手法もいろいろだよね。あとは、僕、都会が好きなのですよ。ロンドンは都会だしね。大きければ大きいほど良い。徳島から明治大学に出てきて、「東京は都会だなー」と嬉しかったですよね。やっぱり。ロンドンは東京よりもさらに都会ですからね。そこは好きです。

清水:へー。確かに。でも、東京も大きいですよ。かなり。経済規模だとロンドンより大きいですよね。

河田:そうですけどね。「都会」っていうのは経済の規模の大きさとか、人の多さとかっていう、問題じゃないと思うんですよ。人々の考え方とかかな。日本の問題は、日本人しかいないってことですよ。外国人も居ますけど、比率は圧倒的に少ないでしょ。ロンドンと比べると全然ですよね。東京は、経済とか人口の規模は大きいかもしれないけれど、世界で見ると規模の大きな地方都市ですよね。

清水:確かに。コスモポリタンではないし、インターナショナルかリージョナルかといえば、リージョナルですよね。そういった意味では、インターナショナルな都市っていったら、ニューヨーク、ロンドン、ロサンジェルスぐらいじゃないですかもしれませんね。河田さんにとって、ニューヨークはまだ魅力的ですか?

河田:そりゃそうですね。アートも盛んだし、その他の刺激もたくさんあるしね。いろんなものを受け入れてくれる感じがしますよね。まずい料理も平気で受け入れて食べている人たちだからね。その点はロンドンも同じだけどね。でも、アメリカン・アクセントはなぜかいつまでたっても好きになれないんですけどね。


 シカゴでもロンドンでもなぜかアーティストたちと知り合いになる機会に恵まれました。僕の周りにいる人とは全然考え方が違う人たちなのですけど、すごく刺激的です。「近代芸術ってどうも分からない」と考えられたりしがちですが、ちゃんと見てみるとすごく面白いです。ぜひぜひ一度、ゆっくりと楽しんでみてください。

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