第14回:同性婚
 イギリスでは今年の12月21日から、同性の結婚が法的に求められるようになりました。エルトン・ジョンやジョージ・マイケルなどが年内にはロンドンで結婚するそうです。これによって、遺言状などがなくても、普通の結婚しているカップルのように相続件が認められます。配偶者控除や配偶者の社会保険が利用できたりもします。今回結婚するカップルの多くは若いカップルではなく、年配のある程度同じパートナーと過ごしてきた人たちだと言われています。おじいちゃん同士、おばあちゃんのカップルなどが結構多いのです。また、同性愛のカップルは結婚もできれば、離婚もできるわけです。結婚できる権利というのも大きな権利ですが、それにともなって離婚もできるようになったわけです。これも結構大きいです。
ロンドンでは12月21日に結婚が認められるということで、ゲイのための結婚フェアが開かれています。このフェアでは結婚式場や貸衣装、ウェディング・ケーキなどを取り扱う会社が並び、結婚式のための準備ができるようになっています。これまで同性の結婚式を手がける会社はなかったことから、彼らはここで自由に、気楽に自分たちの結婚式をアレンジできるというわけです。

 一方で、アメリカではまだ同性の結婚は連邦レベルでは認められていません。サンフランシスコ市がそれを認めて、裁判で違憲の判決が出たのがニュースになりましたね。保守的な地域では依然として同性愛は社会的には望ましいことではないという認識は根強く残っています。ニューヨークやロサンジェルス、サンフランシスコなどの一部の地域を除いては、まだまだアメリカはとても保守的です。いまだにアメリカの中学生男子の自殺の最も多い理由は同性愛です。自分がゲイだということが分かり、それに悩むわけです。

 ただし、そんなアメリカでも日本と比べれば、はるかに社会はオープンです。アメリカにいたときには大学院の同期など身近にゲイやレズビアンがいました。有名な男性の教授がある日いきなり女性になったということもあります。イギリスではまわりにカミングアウトしている知り合いはいませんが、同性愛者はかなり多いといわれています。スリムでかっこよく、オシャレな男の子の多くはゲイではないかというほどです。観光案内所に行けば、ゲイやレズビアンのためのガイドブックがちゃんとあります。そのおかげか、僕もよくゲイと間違えられます。

日本ではまだまだかミングアウトするのには大きな勇気と覚悟が必要でしょう。まして、同性愛者であるということをカミングアウトしたとすれば、職種によっては昇進の可能性に大きな問題が出てくるところもあるかもしれません。あるおじさんが、「日本人は同性愛が少ない人種なんだ」なんて言っていたことを聞いたことがあります。これはオオウソです。

日本の義務教育の歴史教育ではほとんど教えられませんが、明治政府は男性同士の同性愛を禁止する法律を出したほどです。それほど一般にも多くみられたということです。

 オランダやベルギー、スペインなどではすでに同性の結婚は法的に認められています。日本ではまだ具体的な動きはないようです。日本でこのことが議論になったときに、日本はどう対応するのか少し心配でもあり、楽しみでもあります。やっぱり多様性って楽しいのですよ。

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