「読み 書き ソロバン」という言葉があります。昔は、「日本語が読めて、書けて、そのうえで計算が出来ること」こそ「奉公人」、つまりサラリーマンの必須要件でした。昔といっても、ほんの150年ほど前のことです。
私にいわせると、いまは「読み 書き パソコン」。ソロバンは出来なくても、特別支障はありませんが、パソコンを使わない職場はまずあり得ません。どんな会社も満足に務まらないでしょう。エクセル、ワード、パワーポイント、メール・・・。
そして、さらにいえば、「読み書き」だけは150年前もいまも、サラリーマンにとっては普遍的必須要件であり、実はそう簡単に身につくものでもありません。
確かに日本語は、難しい漢字や特殊な漢字でもない限り、誰でも読めますし書けます。しかしながら、「本当に読めるか」、「ちゃんと書けるか」ということになると、なかなかに怪しいのです。
ビジネスの世界では、昔もいまも「文書」のやりとりが基本です。「契約書」「注文書」「請求書」から、「企画書」「起案書」「報告書」などなど、「文書」なしではどんなビジネスも成立しません。また、近年は電子メールの出現で、多くのビジネスマンが日々何十通ものメールを読んだり書いたりしています。
ところが、案外「ちゃんと理解して読む」ことや、「いうべきことを的確に書く」ことが出来ていません。
●ビジネス文書のルールを知らない
●用語や用法を知らない
●敬語や敬称、謙譲語や尊敬語に慣れていない
●まとめる、整理する、簡潔に表現することが苦手
私は、仕事柄、社内的社外的にさまざまな文書を日常的に読んだり書いたりしていますが、何がいいたいのかサッパリ判らない文書や、クドクド不必要に長い文書、肝心なことが書かれていない文書など、ビジネスライクでない多くの「不合格文書」に出会って来ました。
それらの経験から、「どうしたら誰もがきちんとしたビジネス文書が書けるようになるか」について考え、こんな本を書くことにした次第です。
新入社員はもとより、若きビジネスマンの参考になれば幸いです。
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