企業内教育は何を目的として行うのでしょうか。
社員個々人の能力開発、組織力の強化、経営戦略の実現のためなど、様々な目的に即し実施されていると思います。もちろんそれらは企業の立場・企業の論理からはそうなのですが、社員の立場からは、教育の結果として「社員個々人の仕事が面白くなること」ではないかと考えています。
したがって「教育」という言葉ではなく「学習」という自らの主体性が求められるものと考え、私は、できるだけ「学習または研修」を使用するようにしています。
仕事を通じて自己実現を果たす、その自己実現のレベルをどれだけ高めることができるかが、企業内教育に求められる大きな要素であると思います。
その一つに「研修」がありますが、先ほどの考え方からすれば、研修そのものも面白いものでなければならないと思っています。その面白さは、ただ単に楽しいということだけではなく、新たにチャレンジしていく仕事に役立つ内容であったり、新しい知識やスキルを習得する喜びや好奇心を高められるような研修を企画していくことが社員の学習意欲向上の動機付けになると考えています。
そういった意味では、私たち教育担当者の「お客さまは社員」なことは当然の考え方でしょう。
そのことは、教育研修グループ(先述のごとく教育の言葉は好みませんが、私が所属したときには教育の名がついておりました)の「ミッションステートメント」の中にきっちりと謳い、社員に公表しています。
お客さまがどういったことを必要としているか、あるいはどんなものを望んでいるかを知ること、それに基づきどんな学習・研修を企画立案していくかが、私たちの最大の使命であると思います。当たり前のことのように思われがちですが、お客さま(=社員)のニーズが多岐に渡り、置かれている状況や環境も異なる中で、面白い学習・研修を具体化していくことは非常に難しいことだと実感しています。そのためにも、私たちはお客さま(=社員)一人一人と向き合い、相手の立場に立って話を良く聴くことを大切にし、心掛けています。
相手を理解する基本はコミュニケーションです。お客さまを理解することなしにお客さまに役立てる、また、喜ばれる企画をつくり出すことはできません。
できる限り、お客さま個々人のニーズを企画に反映させるためにも、自分の目で仕事の現場を確かめる地道な努力を怠ることなく、私たちが「お客さまの一番の理解者になる」という気概をもち続けていきたいと考えています。
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