各界の一言居士のみなさんに、日本を、企業を、そして我々ビジネスマンを“よく”するために、
“最近アタマにきていること”を、リレーで綴っていただくコーナーです。
第42回のゲストは、藤野英人(ふじのひでと)さん

レオス・キャピタルワークス株式会社
取締役ファウンダー 最高投資責任者(CIO)

1966年富山県生まれ。90年早稲田大学法学部卒業後、野村証券系・JPモルガン系・ゴールドマン・サックス系の資産運用会社を経て、2003年にレオスキャピタルワークスを創業。特に中小型株および成長株の運用経験が長く、22年で延べ5000社、5500人以上の社長に取材し、抜群の成績をあげる。中でも99年には500億円⇒2800億円にまで殖やす抜群の運用成績を残し、伝説のカリスマファンドマネジャーと謳われる。
現在は、販売会社を通さずに投資信託(ファンド)を購入するスタイルである、直販ファンドの「ひふみ投信」を運用。ファンドマネジャーとして高パフォーマンスをあげ続けている。ひふみ投信は2012年度のR&I社による国内株式の最優秀賞を受賞。経済産業省、環境省などの政府委員を歴任。東京証券取引所。名古屋証券取引所、大阪証券取引所で定期的な講演会を行っている。
明治大学商学部講師。東証アカデミーフェロー。
『改めてお金の哲学について考えてみよう』


独立行政法人 労働政策研究・研修機構が5月8日に発表した「第6回勤労生活に関する調査」によると、東日本大震災にかかわるボランティア活動をした社会人は、7%程度でした。
ボランティアとは現地での活動以外にも、募金や物資支援も含みます

出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「第6回勤労生活に関する調査」


日本人の世帯あたり寄付はこの近年だいたい3000円くらいでした。これは月ではなく年です。アメリカではだいたい1世帯あたり13万円程度の寄付をしています。
東日本大震災のあった2011年は日本においては寄付の金額は年間6000円まで増えることになります。
倍になったから随分マシですが、しかし東日本大震災のようなことがあっても、米国に比べると大きな差があります。

私はいつも思うのですが、日本人は社会にために自分が何をすべきか、ということよりはいかに払わず社会や国からいただけるものはいただこうというさもしい人がとても多いと思っています。
日本の社会保障費や税金に対する個人の負担は先進国でも低い方です。
一方で寄付もしない。ボランティア活動もしない。
さらに個人金融資産に占める現金預金の比率は55%と非常に高く、多くの日本人は現金をただただため込んでいる姿が見えています。

ここで社会に対してお金を回していく「投資」についてもっと真剣に見つめる必要があるのではないでしょうか。

投資について考える際にまず向き合わなければいけないのが「お金」についてだと思います。
具体的な「お金」の流れをイメージできれば、私たちが普段何気なく使っている「お金」について、より深く考えられるようになります。
お金を何に消費するかを真剣に考えるようにもなりますし、私たちの給料が誰から回ってきたものかも考えられるようになります。

現代社会で生きている私たちは、生まれてから死ぬまで、お金の流れに身を投じて生きていると言っても過言ではありません。お金を考えることは、まさに人生を考えることに他ならないわけです。
つまり、「お金の哲学」を語ることは、「生きる哲学」「人生の哲学」を語ることでもあるのです。

多くの人は「お金に振り回された人生を送りたくない」と思っていることでしょう。
生きるうえで、お金は絶対に必要なもの。お金がなければ「お金が欲しい」と思いますし、お金があっても「もっとお金が欲しい」と思ってしまいます。

最近では、「それなりの生活ができる程度のお金があればいい」と思っている人も増えてきました。お金が人生の目的ではなく、 何かを成し遂げるための手段であるという考え方が一般的になりつつあります。そういう人であっても、お金と人生を切り離して考えることはできません。
だからこそ、お金について真剣に考えてほしいと思います。お金について深く考えることによって、人生を豊かなものにしていけると、私は信じています。

back next
東京都千代田区飯田橋4-4-15 Tel:03-3263-4474  Copyright (C) 2012 IEC. All Rights Reserved