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各界の一言居士のみなさんに、日本を、企業を、そして我々ビジネスマンを“よく”するために、
“最近アタマにきていること”を、リレーで綴っていただくコーナーです。 |
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第34回のゲストは、
小嶋光信さん
両備グループ代表
両備グループ: http://www.ryobi.gr.jp/
1945年、東京都生まれ。
1968年、慶應義塾大学経済学部卒業後、三井銀行(現・三井住友銀行)に入行。
1973年に両備運輸(現・両備ホールディングス)に常務として入社。
以後、両備グループ各社の役員に就任。
1999年に両備バス(現・両備ホールディングス)社長就任、両備グループの代表となる。現在、両備グループ50社の代表取締役を務める。 |
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高齢化社会の進展と、環境社会の構築に公共交通の必要性が高まってきましたが、皮肉にも地方ではマイカー社会の進展と、規制緩和による退出自由のミスリードと、三位一体改革による地方財源の枯渇で、地方私鉄、バスは倒産、再生、縮小、廃止の嵐にさらされ、現在も70%以上の地域公共交通の私鉄、バス会社が赤字です。きっと今後10年も経たないうちに、地方では現状の30%程度しか路線が残らないと思われるピンチに陥っているのです。
先進諸国の中で民間に公共交通を任せきったのは日本だけとの実態を、国民も行政・議会はもとより、当事者である事業者も、ほとんど知らないというガラパゴス状態です。
アメリカ型のマイカー社会は、交通弱者の交通問題を招来するとして、フランスを中心としたヨーロッパ諸国では、国民に交通を保証する権利、すなわち交通権という概念を生み出しました。そして、その交通権を保証する手段として「公設民営」という方法が一般的に導入され、上下分離により、行政と民間の役割分担が行なわれています。マイカー時代には社会人の交通手段は多くがマイカーに移り、公共交通は60%以上のお客様を失うことになりました。一方コストは装置産業であるため、あまり下げることができず、ビジネスモデルとして成立しないということをヨーロッパ先進諸国は事前に知っていたのです。
日本は、マイカーに徐々に転移していく過程で、根本的な問題解決をせず、補助金と赤字路線の廃止などで逃げてきたのです。その上、この公共交通をどうするかという議論のほとんどは、交通強者が集まって考えているのです。こういった環境の中では、プロ集団である公共交通の業者が窮状を訴えると、経営努力不足、私企業の利益誘導に見られてしまうことが多いのです。そのため地域公共交通の実情がしっかり検証されないままに、窮地に陥ったのです。結果、地方では公共交通の利用は通勤、通学の10%以下、雨の日の傘代わりになってしまっています。
この地方公共交通の窮地の実態を実証するために、津エアポートラインで公設民営の実証をし、この成功を鉄道に応用して和歌山電鐵の再生をしたのです。そして、過疎地域を含む地方バスの窮状と補助金制度の副作用の実証を、中国バスで行いました。お陰様で、たま駅長が公共交通再生のシンボルの一つのとなり、市民の皆さんと、行政と議会の皆さんのご協力でそれらの再生に道筋がつき、和歌山電鐵では鉄道に公有民営法ができ、中国バスでは補助金制度の副作用を緩和するインセンティブが導入される一助となりました。
しかしながら、抜本的な解決を図るのが、交通基本法の成立と財源の確保です。政局が安定しない時代が長年続いていますが、この交通基本法は与野党の政争の具にしないことが大事です。この問題に関しては、与野党共超党派の日本地方党として、必ず成立させることが最低限地方に公共交通を残す喫緊の課題です。
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