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鈴木敦子(すずき あつこ)
■プロフィール
横浜生まれ。東京大学教養学部教養学科卒、UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)国際関係学科修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー社において、顧客企業の製品市場戦略、外資系企業の日本市場参入戦略策定などに従事。その後、人事コンサルティング会社、ワイアット株式会社において、顧客企業の人事諸制度の診断、設計、導入などを数多く手がける。現在、フリーでコンサルティング業務に従事。著書に「人事・労務がわかる事典」(日本実業出版社)「若者の力を引きだす人事サブシステムーインパクトプログラム」(共著、経営書院)などがある。


ダイバーシティー・マネジメント(多様性の管理)
[diversity management/management of diversity]


 
ダイバーシティー・マネジメント(多様性の管理)とは
(1) 社員の多様性(異なる信条・文化・習慣をもつ、等)を理解すること
(2) 多様性の必要性・重要性を認識すること
(3) 適切な多様性を維持、または適切なレベルに多様性を拡大すること
(4) 多様な社員に快適な労働環境を提供し、多様な社員が協力し合って力を発揮できるようにすること
を意味する。ちなみに「diversity(ダイバーシティー)」は「相違、多様性」という意味。ここでは多様性の管理が進んでいる米国の例をみてみよう。

 米国では(1)多様な人種、文化が共存しており、アジア系やヒスパニック等のマイノリティーの割合はさらに増加している(2)女性の社会進出が進んでいる(3)グローバル化が進み、海外で文化の異なる社員をかかえる企業が増加している(4)市場の競争が激化し、性別、文化等に関わらず優秀な人材を登用する必要性が高まっている(5)人種、性別等での差別を禁じる法律が制定されている[公民権法第7編(タイトルVII)は従業員15名以上の雇用者を対象に人種、皮膚の色、宗教、性別、出身地などの相違による一切の差別を禁止している]、等の背景から多様な社員をいかに管理するか(ダイバーシティー・マネジメント)が重要な経営課題であると受けとめられている。

 ここで語られる多様性とは(1)人種・文化の多様性:アジア・アフリカ系、ヒスパニック等のマイノリティー等の受け入れ(2)ジェンダーの多様性:女性社員の受け入れ、だけでなく、(3)身体・精神障害者、(4)様々な性的志向:ゲイ・レズビアン、(5)高齢者、(6)様々な宗教、信仰等を含む「あらゆる意味での多様な社員」の受け入れを意味するものである。 マネジャーは「多様性を管理できること」が評価の大きなポイントとなる。多様性の重要性を理解させダイバーシティー・マネジメント能力をあげるための社員・マネジャー向けのdiversity training は非常に重視されている。トレーニングでは、(1)ダイバーシティー・マネジメントの重要性の認識:法律に違反しないために行うだけでなく、企業の発展のために多様な人材が力を出せる職場環境の整備が必須であること(2)多様性に関わる法律知識:米国ではタイトルVII(セブン)、アファーマティブアクション、等の理解(3)多様性に関する会社の方針(4)マイノリティー文化や女性等に対する偏見、ステレオタイプ化が危険であることの理解、および(5)「問題となる行動」、「とるべき言動」について具体的なビデオやロールプレイング等による実習などが行われている。 日本でも女性の進出、外国人雇用、障害者雇用、グローバル化は進み、社員の多様化は確実に進んでいる。

今後、日本でもダイバーシティー・マネジメント能力が重要となることは間違いない。



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