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鈴木敦子(すずき あつこ)
■プロフィール
横浜生まれ。東京大学教養学部教養学科卒、UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)国際関係学科修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー社において、顧客企業の製品市場戦略、外資系企業の日本市場参入戦略策定などに従事。その後、人事コンサルティング会社、ワイアット株式会社において、顧客企業の人事諸制度の診断、設計、導入などを数多く手がける。現在、フリーでコンサルティング業務に従事。著書に「人事・労務がわかる事典」(日本実業出版社)「若者の力を引きだす人事サブシステムーインパクトプログラム」(共著、経営書院)などがある。


サクセッションプラン(ニング)Succession Plan/Planning



リーダーを選抜・育成する時代 

 変化の激しい時代には有能なリーダーがいるかどうかが勝負の別れ目となる。そこで重要となるのが「サクセッションプランニング」である。 サクセッションとは「継続、相続、後継者となること」という意味。サクセッションプランニングは「(社長など)主要なリーダー職の後継者選抜・育成計画」のことを指す。ただし、単に「来期で引退する社長の後継者を誰にするか考える」といった一過性のものではない。
 @社員の中からリーダーとしての資質のある人材を早くから評価・選抜し、長期的に育成すること、でありA変化するビジネス環境・戦略とリンクさせながら行う長期的かつ戦略的な計画・行動、である。

社内で育成する

 内部で育成する時間がない場合には他の企業からトップを迎え入れる例もある。しかし莫大な労力とコストをかけてひきぬいた人材でも異文化で成果を出せるとは限らない。できれば社内で後継者を育成できる体制にしておくことが望ましい。

サクセッションプランニングの主なステップは以下のようになる

1)候補者選抜

若い世代(できれば30代)から将来のリーダー候補者を選抜する。そのためには選抜基準、評価システムの設定、人材情報の収集・管理体制の整備が必要

2)長期的な育成計画

候補者に対してリーダーに必要な知識や経験を蓄積できるようにトレーニング、仕事の配属を行う。計画的な配属により、早い段階からリーダーの役割を担わせたり、多様な職務・危機を経験させることが可能となる。もちろん、各職務での業績はリーダーの資質を判断する材料ともなる

3)様々な角度からの評価

トップや少数の役員のみが評価するのではなく、候補者の同僚、部下、上司や特別委員会によってヒアリング・評価が行われる。また、現在の仕事の業績だけでなく、将来のリーダーとしての資質に必要な行動をとっているか、など多様な視点から評価され、候補者の絞り込み、追加が行われる。

4)リーダーの決定・交替

早くから候補者がしぼられる場合もあるが、環境の変化に対応するためには様々なタイプの後継者候補を用意し、リーダーが交替するときの環境や今後のビジネス戦略をみて誰を選出するか決める体制が求められている。さらにスムーズにリーダーが交替できるよう、リーダー交替の時期、交替のプロセスを検討することも重要である。 米国ではトップの最も大事な役割は「適切な後継者を選出・育成すること」ともいわれている。一方、日本では現社長や少数の役員による密室決定で後継者が選ばれることが多く、長期的、計画的、客観的なサクセッションプランが実行されているとはいえない。 今後、サクセッションプランに真剣に取り組む企業とそうでない企業では成長に大きく差がでてくるだろう。





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