■雇用流動化時代のキーワード:エンプロイヤビリティー(employability)/とエンプロイメンタビリティー(employmentability)
雇用が流動化し、自分の力でキャリアを設計する時代のキーワードはエンプロイヤビリティー(employability)とエンプロイメンタビリティー(employmentability)である。
エンプロイヤビリティー(employability)とは各個人の「雇用(employment)される能力(ability)」のこと。現在勤めている企業を辞めたり放り出されるようなことがあっても他の企業で雇用され、働き続けられる能力のことである。
具体的には「できるだけ良い雇用条件で@新卒で採用されることができるA必要であれば新しい職場に転職することができる、さらにBその職場で雇用され続けることができる能力」と表すことができる。
すべての企業が競争にさらされ、いつ人員削減するか倒産するかわからない時代には企業が終身雇用を保障してもあてにはならない。企業、労働者の双方の重視するものが「安定長期雇用(life-time
employment)」から仕事やトレーニングを通じて「生涯有効な雇用(life-time
employability)を身に付けさせること」に変わりつつある。
この方針のもとでは企業はトレーニングなどにはコストをかけるが、終身雇用による固定的な人件費を負う必要がない。個人にとっては今の企業がつぶれても他で職を得る可能性が高くなる。
米国では政府や労働組合も、個々の労働者のエンプロイヤビリティーを高めることで全体の雇用状況を改善することに注力し始めている。
さて、企業はエンプロイヤビリティーの高い人材を採用することだけに注力すればよいかといえばそう甘くはない。
企業にはエンプロイメンタビリティー:employmentability[良い人材を雇用(employment)し、ひき止めておく能力(ability)]が必要とされている。
雇用流動化の時代は、企業が個人を選ぶ立場であると同時に企業が個人から選ばれる立場となる。企業に魅力がなければ良い人材は雇用できないし、たとえ入社しても流出してしまう。もちろん企業は全ての人材にいい顔をする必要はない。ほしい人材から「魅力的な企業だ」と思われることが重要だ。そのためにどのような企業イメージで、どのような労働環境、労働条件を用意すべきか戦略をたてることが必要となる。
個人も企業も互いに魅力をアピールし、互いに選択しあうのが今後の労働市場の在り方である。ここで良い相手とめぐりあえるか(雇用されるか・採用できるか)どうかはエンプロイヤビリティーとエンプロイメンタビリティーがあるかどうかにかかっている。
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