◆通販トラブルの対処法

 通信販売によるトラブルも少なくありません。通信販売では、広告やパンフレットなどで通信販売の業者が商品の買い入れを呼びかけ、これに応じて商品を購入したい人が買い入れの申し込みをし、それを受けて業者が商品を送るという方法をとります。ここで問題となるのは、どの時点で売買契約が成立しているかですが、一般的には、消費者が買い入れの申し込みをするのが契約の申し込み、その申し込みに対して業者が承諾をした時点(商品を発送した時点)で契約が成立したとします。

 では、具体的な事例をいくつか考えてみましょう。たとえばあなたが通信販売でスーツを買ったとします。届いた品物を見ると、思っていたより安っぽく感じます。さて、あなたはこのスーツを返品して売買契約を解除(解約)できるでしょうか。

 このスーツが広告やカタログに掲載されているものと明らかに異なるものであれば、業者は契約上の義務を果たしていないことになりますので(債務不履行)、当然、あなたはスーツの交換を要求したり解約することができます。また、送られてきたものに欠陥があった場合、送られてくる途中で壊れた場合も、交換、解約は可能です。ただし、なんとなくイメージと違うという程度では、解約は難しいでしょう(業者が返品・交換に応じる場合には、もちろんその限りではありません)。

「クーリングオフ」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。訪問販売法によって設けられている制度で、一定期間内であれば購入者より無条件で売買申し込みの撤回、解除ができるというものです。通信販売も訪問販売法によってその広告などが規制されますが、クーリングオフについては認められていません。民法の原則にしたがって対処することになります。



弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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