◆売買契約の成立とは?

 契約は、一方が何事かを申し込み、もう一方が承諾するという意思の合意によって成立するものです。民法上では、契約の成立にあたっては契約者相互の合意があれば口頭でも良いことになっており、日常的な買い物などではだれも契約書など作成しませんが、例えばスーパーで野菜や肉を買うのも法的には売買契約が成立すると考えられます。「売る」という意思表示と「買う」という意思表示は、いずれも「申し込み」になり得ますし、その場合、もう一方は「承諾」となるわけです。

 たとえば不動産売買のように契約書を交わして大きな金額が動くものも、駅の売店でお菓子を買うのも、売買契約という意味では等しい行為といえるでしょう。成立した契約は有効な契約となり、当事者は契約から生じる義務を遂行しなければならないのです。

 もっとも、駅の売店でお菓子を買って、法律的なトラブルに発展するケースはまずないでしょうが、売買契約の中には、さまざまなトラブル発生の火種を抱えているものも少なくありません。たとえばクレジット契約、訪問販売による売買契約などはその代表といえるでしょう。これは、その販売方法に問題があるというよりは、その契約に乗じて消費者をだまそうとする悪徳業者の存在や、複雑な販売方法による誤解、行き違いなどが問題になるのです。

 このため、クレジット契約には「割賦販売法」、訪問販売には「訪問販売法」という法律で、とくに悪徳商法に対する規制が行われ、法改正のたびに規制が厳しくなってきているような状況です。訪問販売法では、いわゆるセールスマンの訪問だけに限らず、キャッチセールスやアポイントメント商法、電話勧誘販売なども含まれます。また1999年の法改正では、エステティックサロンや外国語会話教室などの契約も規制対象に含まれました。


弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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