◆約束は文書で残しておく

 よく口約束したことが守られずに困ったという話を耳にします。こんなときに、その約束に関する文書があれば問題の解決に向けて動き出すこともできるのですが、口頭で交わした約束だけが頼りというのではどうしようもありません。約束は文書で、法律的にいえば、契約に際しては「契約書」を作成しておくことが必要です。

 契約といっても、要するに約束です。一方が何事かを申し込み、もう一方がこれを承諾するという意思の合意によって契約が成立します。民法上では、契約の成立にあたっては契約者相互の合意があれば口頭でも良いことになっていますが、後日、本当に契約が成立していたのか、契約内容に関して双方に食い違いがなかったか、などを明らかにするためには、それを文書化した契約書が必要です。いいかえれば、将来、紛争が生じたときに備えて、証拠となるように契約書を作成するわけです。もちろん、契約にあたって、その内容を明確化し、お互いが確認するという意味もあります。

 契約書には、「契約書」とタイトルをつける場合もありますが、合意書、覚え書き、念書、協定書などとしたほうが内容をよく表す場合もあるでしょう。いずれにしても、タイトルによって効力のちがいはなく、法的には契約書として扱われます。通常、双方がその内容に合意すれば、契約書に日付記入・署名・押印の上、2通作成した契約書の1通ずつをそれぞれが保有するということになります。

 作成にあたって注意したいことは、契約の内容が法律に違反していないか、内容の記述が明確で誤解の余地がないか、契約内容および双方の言い分がすべて尽くされているかどうか、といったところです。とくに財産や身分関係の契約など、重要で複雑な契約書の作成にあたっては、弁護士によく相談したほうが良いでしょう。





弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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