◆知っておきたい印鑑の知識

 印鑑には実印と認印の2種類があります。実印は、個人が市区町村の役所・役場に登録した印鑑のことをいい、登録するとその印鑑が本人のものであるという証明(印鑑証明)を受けられます。たとえば契約書などに実印を押したとき、そこに印鑑証明の書類を添付することによって、特定の個人が押したことの証明となるわけです。この実印以外の印鑑は、どんな立派なものでも、いわゆる三文判でもすべて認印です。

 では、実印が必要となるのはどんな場合でしょうか。たとえば、不動産の所有権移転登記申請、会社設立のための定款作成時、遺産分割協議書の作成時など法令・規則で定められている場合、そして金銭貸借契約、担保設定契約、保証契約、示談書など重要な契約を締結する場合です。いずれも本人の意思の確実な証明が必要なケースです。

 一般の契約書では、必ずしも実印は必要ではありませんが、署名に加えて認印を押印し、本人の意思を表すことが慣習となっています(欧米諸国ではサインを重視します)。
 署名・押印は、本人の意思を表すものですから、ひとたび署名・押印した契約書については、本人がその契約条項に同意したものとみなされます。あとになってから、勘違いしていたとか知らなかったなどと言っても、それが認められることはまずありません。

したがって、@押印する書類の内容をしっかり確認すること、A必ず自分の手で押印すること(知らないうちに白紙委任状に押されてしまうことなどがあるため)、B相手が信頼できる場合以外は訂正用の捨て印を押さないこと(あとから文書の内容を変えられる場合がある)、といったことには十分に注意が必要です。
 また、印鑑代わりに手指の腹に朱肉をつけて押す拇印には、原則として押印としての効力はありませんが、裁判では証拠としての価値が認められることがあります。





弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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