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◆消費者の味方―PL法

 PL法とは製造物責任法のことで、1995年7月に施行された法律です。では、この製造物責任法がなぜ消費者の味方なのでしょうか。

 たとえば、あなたの自宅のテレビが突然出火し、リビングルームが全焼したとします。あなたのテレビの使い方が悪かったのなら、自己責任による事故かもしれません。しかし、ごく普通に使っていて、テレビが欠陥製品であったために出火したのなら、あなたはメーカーの責任を問うのが当然だと思うでしょう。ところが、以前の民法では、あなたがメーカーに損害賠償を請求する場合、そのテレビに欠陥があったことだけでなく、メーカーの設計段階・開発段階・製造段階などにどんな過失があって、欠陥品となったのかを調査して立証しなければなりませんでした。つまり、そのテレビが事故を起こしたのは製造者の何が問題だったのかという過失の立証が要求されたのです。たとえあなたが電子技術の専門家であったとしても、機械工学や生産システムについての専門知識がなければ、そうした緻密な証明はほとんど不可能でしょう。

 ところが、PL法では、そのテレビが事故を起こしたのは製品のどこに問題があったのか、すなわち製品の欠陥の立証さえすれば良いのです。逆にメーカーは欠陥ではなかったことを示して反論しなければなりません。
 では、欠陥とはどのようなことをいうのでしょうか。条文では「製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう」と定義されています。つまり、欠陥の概念は具体的に線引きされているのではなく、裁判所が個々のケースで判断を下すのです。

 アメリカではすでにこのPL法に基づく訴訟によって、業務縮小や倒産を余儀なくされた企業も少なくありません。PL法は、消費者にとって非常に強力な武器なのです。





弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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