◆突然のリストラ、どうにかならない?

 長引く不況と産業構造の変化を背景に、大規模なリストラがいたるところで起こっています。リストラとはリストラクチャリングの略で、本来は企業の業務様態の再構築のことですが、リストラと称し、合理化を錦の御旗のようにして、理不尽な整理解雇や退職の強要が行われているケースも珍しくありません。しかし、それが解雇であるならば、法律や判例で示された基準を満たしていなければ無効であることはいうまでもありません。

 具体的な例をもとに考えてみましょう。ある日、あなたは社長に呼び出されて、「経営悪化のため人員整理をすることになった。君は明日から出社しなくていい。解雇だ」と言われました。突然のリストラです。こんなことが許されるのでしょうか。

 答えはノーです。まず、使用者が一方的に労働契約を解約する解雇を行うには、「1ヶ月前に解雇の予告をするか、それに代えて30日分の平均賃金(予告手当)を支払う必要がある」と労働基準法に定められているからです。では、社長がその分を払うと約束したら、解雇は成立するのでしょうか。

 いいえ、そうではありません。この規定はあくまで解雇の手続きを定めたものであって、解雇そのものの有効性を認めるものではないからです。

 すなわち、解雇にあたっては、現実的には正当な合理的理由がなければならないのです。整理解雇の場合、判例で確立されている要件は、@労働者を解雇しなければならない客観的な経営上の必要があるか、A労働者の解雇を回避する努力を尽くしたか(配転など)、B人選の基準が客観的に合理的で公平であるか、C以上の点を労働者個人と労働組合に対して十分に説明し協議を尽くしたか、などです。この要件をすべて満たしていない場合は、整理解雇は無効ですし、希望退職に応じるかどうかもあなたの自由なのです。








弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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