◆著作隣接権とは?
前項で著作権の中に著作隣接権があると述べましたが、著作隣接権は著作者を対象とする権利ではなく、実演家、レコード制作者、放送事業者、有線放送事業者など、著作物の内容を広く一般公衆に伝達する役割を果たす人たちを保護するための権利です。 では、具体的にどんな内容なのでしょうか。 まず、実演家とは、たとえば指揮者や演奏家、歌手、俳優、舞踏家、舞台演劇の演出家といった人たち(著作物を利用して実演を行う人たち)のことです。 彼らは営利を目的として実演を行う場合、著作者から著作物の利用の許諾を得て実演を行いますが、その実演家自身の利益を保護するために一定の権利が認められています。 それは、@その実演を録音・録画する権利(第三者が実演を録音・録画する場合は実演者の許諾を得る必要があります)。A実演を放送しまたは有線放送する権利。B実演を送信可能化する権利(ネットワークに接続されたサーバ−に情報をアップすることなども含まれます)。C譲渡権(実演をその録音物・録画物の譲渡によって公衆に提供する権利)などがあります。 ほかに、実演を録音したレコードを放送した場合などに請求できる「二次使用料請求権」、実演が録音されている商業用レコードなどを公衆に提供する「貸与権とその期間経過後の報酬請求権」などの債権的な権利もあります。 また、レコード制作者(一般にレコード原盤の制作者のこと)には、@複製権(原盤から商業用レコード、ディスクにプレスすることや、それをさらにテープなどに録音することも含まれます)、A送信可能化権、B二次使用料請求権、C譲渡権、D貸与権とその期間経過後の報酬請求権、があります。 放送事業者の場合は、@複製権、A再放送権・有線放送権、Bテレビジョン放送の伝達権があり、有線放送事業者の場合もこれに準じます。
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