◆商標法とは

 商標法第1条には「この法律は商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて受容者の利益を保護することを目的とする」と記されています。
 「商標」とは商品に付けられている「標章」のことで、ひとことでいえばトレードマークやサービスマークのことです。
 商標法第2条には商標の定義について、「文字、図形、記号、もしくは立体的形状もしくはこれらの結合またはこれらと色彩との結合であって、業として商品を生産し、証明し、または譲渡する者がその商品について使用する者、および業として役務を提供し、または証明する者がその役務について使用するものをいう」と記しています。
 要するに、商標とは他の商品と識別するためのしるしです。消費者はそのしるしによって商品の出所を知るとともに、商品の品質が保証されていることを知るわけです。一方、商標の使用者にとっては、商標が宣伝広告的な役割も果たすものとなります。
 商標の模倣は古くから多く行われてきました。室町幕府が酒の商標の偽造取締りを行ったり、中世ギルドの組合規約に模倣禁止が盛り込まれたりしたことも、商標の持つ威力の大きさを物語っているといえるでしょう。
 最近では、持ち帰りおにぎりの「小僧」と寿司チェーンの「小僧寿し」、この2つの商標の類似性をめぐって最高裁まで争われたケースがあります(1997年、類似しないと判決)。
 商標法の保護規定には、ほかの工業所有権とは大きく異なる点があります。商標登録を受けると、登録日から10年間、その登録商標に独占使用権が与えられ、10年ごとに期間の更新延長が可能なのです。
 つまり、10年ごとに更新手続きを行えば、半永久的に商標権の保護を受けることができるのです。商標が業務の信用であることを考えれば、それも当然といえます。


弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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