◆意匠法とは
「意匠法」は、意匠の創作を奨励し、産業の発達に寄与することを目的に定められました(意匠法第1条)。
意匠とは「物品の形状・模様もしくは色彩またはこれらの結合であって、視覚を通じて美観を起こさせるものをいう」と同法2条に定義されています。要するに、意匠とは物品の美的外観すなわちデザインのことです。
つまり、特許法や実用新案法は「自然法則を利用した技術的思想の創作」を保護するものですが、意匠法は「物品の美的な創作」を保護する法律なのです。
優れた発明を保護するとともに、その具体的な成果である商品のデザインも保護しようというわけです。現実に、優れたデザインの商品が消費者に強くアピールすることはいうまでもありませんし、一方でその模倣もきわめて容易だからです。
意匠は、意匠登録することではじめて意匠権が認められ、保護されることになります。
こうした意匠の保護制度は、1711年にフランス、リヨンの執政官が絹織物の図案の模倣を禁止したことに始まったといわれています。
1787年にはイギリスで、麻布、綿製品などの意匠に関して所有権を与える条例が制定され、1806年にはナポレオンも法律を制定しました。
日本では1888年(明治21年)に、イギリスにならって意匠条例が制定されています。
その後、何度かの改正を経て、1959年(昭和34年)に制定された意匠法が大幅に改正されたのが1998年(平成10年)のことです。
この改正では、物品の部分の創造的デザインを保護する部分意匠制度の導入、それにともなって、機能のみに基づく意匠の保護除外、類似意匠制度の廃止と関連意匠制度の導入、同時に使用される2つ以上の物品から構成される組物の意匠であるシステムデザインの保護など、保護強化と国際化への対応が行われました。
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