◆実用新案法とは
「実用新案法」は実用新案権について規定する法律です。実用新案権の対象となるのは「考案」です。では、考案とはそもそも何でしょうか。
実用新案法第2条によると、考案は「自然法則を利用した技術的思想の創作をいう」と定義されています。前項の特許法での「発明」の定義と較べてみてください。ここでは発明と考案の相違点は、高度性があるかないかというだけです。つまり、発明に対して小発明といったところでしょうか。
しかし、違いはそれだけではありません。実用新案法で保護される考案は「物品の形状・構造、またはこれらの組み合わせ」に関わるものに限られます。つまり、「方法」のような抽象的なものではなく、取引の対象となって運搬可能な具体的な物(立体物だけではなく平面的な物も含みます)に関わる小発明であることが要件なのです。
たとえばボールペンの先にボールを使用するというのは特許になりますが、ペンが転がらないように六角形にするというと実用新案になるのです。実用新案はこのようないわばちょっとした独創で、現在でも年間1万件以上が出願・登録されています。
実用新案は特許を補完するものとされてきました。もっとも、排他的独占権ということでは実用新案も特許も同じ権利ですので、どれほどの商業的成功を生み出すかというのはまったく別問題です。
実用新案制度を設けている国はそれほど多くなく、アメリカやイギリスには特許制度しかありません。日本の実用新案がアメリカで特許を得ているケースも少なくないのです。
1993年の実用新案法改正では、早期登録制度が導入されました。無審査主義への移行です(ただし考案の形態性の要件は基礎的要件として審査される)。それにともなって、それまで出願公告から10年間認められてきた専用権は、6年間になりました。
|