◆不正競争防止法とは何か
「不正競争防止法」が最初に制定されたのは1934
年(昭和9 年)。1911 年(明治44
年)のパリ条約ワシントン改正条約によって、「工業上または商業上の公正な慣習に反するすべての競争行為は、不正競争行為」であると規定されたのを受けてのことでした。 そもそも、この法律は、資本主義経済が発展していく過程で、自由競争と国際化が引き起こすさまざまな紛争を防止し、事業者間の公正な競争を確保するために生まれました。 現在では、知的財産権の侵害について争う場合は、特許法や実用新案法、著作権法をはじめとする法律に基づいたほうが権利主張がしやすいのですが、特許権や商標権が成立する以前の段階で紛争になった場合や、著作物とはいえないようなものが侵害された場合は、この不正競争防止法に従うことになります。 不正競争防止法が定めている不正競争行為には、次のようなものがあります。 @他人に周知の商品表示と紛らわしい表示に○よって、混同させて売り込む行為。 A他人の著名な商標等を利用する行為。 B他人の商品の形態の模倣。 C他人の営業上の秘密の侵害。 D営業上用いられている技術的制限などを無 ○効化する機器等の譲渡等。 E商品の内容などについて誤認させる行為。 F商品の信用を毀損する行為。 G外国の商標権者の代理人が同種の商品や役 ○務を提供する行為。
そして、こうした行為に対して、差止請求、損害賠償請求、信用回復の措置請求などの救済と、刑事罰が規定されています。また、目的が共通した法律に「独占禁止法」があります。 不正競争防止法が、当事者のみに請求権を与えているのに対し(消費者団体などには請求権がない)、独占禁止法は、公正取引委員会という行政組織による規制を原則にしています。
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