◆トレード・シークレット(営業秘密)とは
「トレード・シークレット(営業秘密)」とは何でしょう? これも知的財産の1
つなのですが、特許や実用新案、著作物などとはかなり性格が異なっています。というのも、特許や実用新案、著作物などは、公開されたり作品として公表されることがその目的であるのに対し、トレード・シークレットは秘密の情報として管理されているものだからです。 具体的には、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有利な技術上または営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と不正競争防止法2条4
項に定義されています。 つまり、特許のように権利として公開するよりも秘密の情報として管理しておいたほうがふさわしいと考えられるようなものです。 たとえば、製造のノウハウとか営業上のノウハウなどのように、特許をとるほど高度ではないけれど他社に知られたくないもの、他社に模倣されると競争の上での優位性を損なうものなどもこうしたものの1
つです。 1996
年の大阪地裁判決では、男性用かつらの顧客名簿を元社員が持ち出して営業を始めた行為に対して、営業活動差し止め請求を認めています。これもトレード・シークレットが保護された具体例といえるでしょう。 こうしたトレード・シークレットに対する法的保護は、「不正競争防止法」に定められています。 では、ここではどのような行為が不正競争行為にあたるかというと、窃盗などの不正手段で秘密を取得し使用する行為、秘密を知らされた者が不正の利益を得ようとして、または保有者に損害を与えようとして秘密を開示する行為などが挙げられています。 こうしたトレード・シークレットが明確に保護されるようになったのは比較的最近のことで、1990
年(平成2 年)の不正競争防止法改正以降のことなのです。
|